2003.11以降、初めてお読みになる方へ。
だれこいつ?という人が、時々出てきますけど、気にしないでね。
青春の残滓ってやつよ(笑)
待合室のガラス戸を開けて、真っ青なバスガイドの制服を着、帽子をちょんと頭に乗せた、若い娘が入って来た。急いで来たらしく、息を弾ませている。ほっぺが赤い。歯並びが悪い。髪の毛は茶色く、鼻がちょっと上を向いていて、目は小さくてくりくりしている。愛嬌のある動物のような顔だ。
「すみません、あの、すもも1号に乗られる方」
ぷりぷりしたアニメ声に、はい、と返事をしたのは、あまり広くない待合室のベンチであるのに、それでもたった一人しか座っていない、その一人、であった。
「点呼を取りたいと思いますので、お名前をお呼びしたらお手を上げて下さい。ええと、ナガレさん」
しーん。
「あ、えーと(ボードを覗き込む)チュウジョウさん」
しーん。
「え、えへへ。えー、クウジョウさん」
しーん。
「…げほげほ。ゴ、ゴダイさん」
しーん。後ろで、観光バスの窓口のおじさんが当惑した笑顔を浮かべている。
「あのう」
待合室にたった一人いた人間が、手を上げる。バスガイドは大張り切りで駆け寄り、
「あっはい!ゴダイさんですか?」
「いや、違いますけど…そのバスには乗る予定です。俺は由良…」
「あっそうですか!えっと、じゃあ、お呼びするまでお待ちくださいね!」
…お呼びするまでお待ちって、他に誰も居ないのは、見ればわかるような気が、と由良は思った。
窓口のおじさんが、当惑笑顔のまま、
「出発までまだ40分もあるから、まだ誰も来てないんだと思うよ」
出発時間も近づき、ようやく皆やってきた。
「あの、席は」
「あ、席は自由なんで、どうぞお好きなところへお掛けください」
バスは定刻に発車した。緊張した笑顔で、マイクを握ると、
『え、えー。あの、この先の△△バスターミナル前で、お乗りになるお客さんで、全員お揃いなので、ご挨拶はそれからにさせていただきます。それでは朝のお茶をお配りします』
声が上擦っている。緊張しているんだなあ、と思って呉は微笑ましく、揺れるバスガイド指定位置で、必死にお茶の準備をする彼女を見守った。
中腰で足を広げふんばりながら、給湯器のような装置から大きめの急須に、お湯を注ごうとする。なかなかお湯が出ない。あぶなっかしいなあ、と今度は冷や冷やしながら見守る。
「あれっ?ん、んんっ。えい、えい!わあっ」
どばあーとお湯が出てきて、大慌てで急須で受け止める。しかし、
「キャッ止まらない!」
お湯はだばーと急須からあふれだし、慌てて下敷きにしたお盆からもだばだばと溢れる。バスガイドは懸命にお湯を止めようとし、止まったところで急須がひっくり返った。
『あ、あの、ちょっと、トラブルが発生しまして、あのう、お茶は、もう少し後からにしていただいても、よろしいでしょうか』
「いいですよ」
思わず呉は返事をしていた。バスガイドが、ひどく嬉しそうにありがとうございますと言った。隣りで、聞き取れないことを言いながら、中条がかばんからペットボトル茶を取り出した。
△△バスターミナル前で残りの客が乗り込み、全員揃ってバスが発車した。
『えー、では改めてご挨拶いたします。皆さま、おはようございます』
おはようございまーす、と返事が来て、とても嬉しそうに、ウフフフと笑い、
『本日は当観光バスをご利用いただきまして誠に有難うございます。今日一日皆様とご一緒させていただくわたくしは、山川(作者注:仮名です)と申します。あの、私、今年入ったばっかりで、その、あまり知識が頭に入ってないのもあるんですけど、あと何というか、落ち着きがない感じがすると思うんですが、頑張りますので、宜しくお願いします』
ぱちぱちぱちと拍手が起こって、とても嬉しそうにエヘヘヘと笑った。
『このように、ええと、この地方は○○音頭発祥の地といわれています。えー…』
それにしてもええとが多いなと思いながら聞いていた承太郎だったが、突然止まったので、なんだ?と思い、目を上げて彼女を見た。彼はお客の中で一番デカイので最後尾に座っていた。
バスガイドは真っ赤な顔をして、視線を宙にそそぎ、意味のわからない微笑みを浮かべて、なにやら体でリズムをとっている。
「?」
何だ、と眉間にしわをよせた時、彼女の中でなにかがふっきれたらしく、突然、
「ちゃんちゃんかちゃんちゃかちゃんちゃ、すちゃらかちゃんちゃん」
口で前奏を歌い始めた。皆ドギモを抜かれるが、耳に馴染んだこのメロディがなんなのかは、すぐわかる。
「めでためーでーたーあああの〜おおわかーまあつうさーまーああああよーおおえだああも」
チョイチョイ、と有志が声を入れてくれたが承太郎は入れなかった。それでも、
「ほら、手拍子して」
隣りの花京院に注意されて、そういうものか、という感じで手を打ち始めた。
「さぁかえぇてぇ〜えはあもおしいげえるぅ〜ハアヤッショーマカショシャンシャンシャン!」
最後の部分は恥ずかしかったと見えて、合いの手を入れてくれようと口を開けた有志を振り切ってばんばんスピードアップしたため、手拍子がついてゆけなくなり裏打ちになった。
レゲエ調の○○音頭をもう一回歌い、お粗末さまでしたと言ってえへへへ笑っている。皆するしかなくて拍手をした。
「バスガイドってのは…」
「なに?」
「歌も、」
得意技というか、持ちネタなんではないか、と言いかけたのだが、
「…別にいい」
「ええっと、これから行く寺は、昔修験者が、修練を積んだところとして、知られています」
よりいっそうたどたどしいので、二三人がちらと見ると、案の定メモを必死で読み上げている。
「しゅ、修験者たちは、一年の、決まった時期しか、下の村には、下りて、きまー…せん」
腕組みをして聞いている五右衛門がうむ、とうなってうなずいた。
「このため、ええと、それ以外の時期に、村にいる、修験者は、んー?あれ?」
ぺらぺらぺら、とページをめくる音。見つからないらしい。
「えっと、…うん、ニセモノ。かな?」
腕組みしたまま五右衛門の顔が引きつった。
「へえ、そうなのか」
「まあ確かにうさんくせえカッコだからな」
前の座席の二人が勝手なことを言っている。違う!と怒鳴ろうとしたが、バスガイドは勝手に納得し、
「そうですね。あっそうか、だから、口ばっかりで、中身の伴わないひとを、大法螺吹き、というようになったのでございます。そうかそうかこうつながるんだ」
最後の部分は小声で呟いている。
たまりかねて、お主、と話し掛けようとした時、
「あっ違った!すみません違いました。それ以外の時に見る修験者は、PR活動をしているんですって。いや、しているのでございます」
ございますだけ言ってもダメだ!と手がわなわな震えるが、ぐっと我慢した。
「あぶないあぶない」
本人はそんなことを言ってえへへと笑っている。
バスが目的地の一つに着き、皆ぞろぞろ降りた。バスガイド嬢が旗をふりまわしながらこっちです、と誘導する。
なかなか見ごたえのある古刹に着き、「おお」とか言いながら写真を撮っているのを、バスガイドは嬉しそうに見ている。
「すみません。撮ってもらえませんか?」
銀鈴がカメラを差し出した。後ろに村雨が立っている。禁煙なので煙草はくわえていない。
「はい!あ、じゃああの賽銭箱の前あたりで!」
猛然と距離をとる彼女の背中を見ながら、大丈夫かしら、と銀鈴は思った。
「撮りますよ!はい、ピース!…あれ?」
かしゃって言わない、と言いながら覗き込んでいる。何を覗いているのだろう。
「あの、ただ押すだけだから」
銀鈴が声をかける。そうですよね、普通そうですよね、と言いながらもう一度構え、
「じゃもう一回。はい、ピース!…ピース!…撮れてるのかなあ」
ピースって、チーズのことか、と思いながら、まだこっちにカメラを向けて首を捻りながらぐいぐい押している彼女のところに、苦笑して近づいて、
「どうも有難う」
銀鈴はカメラを受け取った。撮れてると思うんですけど…えへへ、と笑っている。
「デジカメは情緒がないが、すぐ見られるのはいい所だな」
「そうね」
二人でちょいと見てみた。今の彼女の動作が不安だったせいもある。
「わっ」
驚きの声が上がった。賽銭箱の前に立って笑顔の二人、から始まって十枚くらい、ん?という顔になり苦笑になり、その顔でこっちに近づいてくる銀鈴が連写されている。
ばんばん続けて撮ったせいで、一枚起きにフラッシュがたかれ、明るいのと暗いのが交互に並んでいる。
笑うしかなくて二人とも笑った。
『ええと、これから見えてくる鳥居が、ええと、建ったのが、何年だっけ、』
焦っているうちに鳥居が行き過ぎてしまった。あああ、と思いながら一条は窓から鳥居を見送った。
「行っちゃいましたねえ」
隣りで五代も苦笑している。うん、となんだか自分がきまり悪くなる。
『ええっと、次はと。あ、この交差点を左の方へ行きますと、すいかの名産地がございます。そこでは黒玉といって、真っ黒なすいかをつくっています』
食べ物のことはすらすらと出てくるようだ。
『あと、皆様』
いかにも、自分が聞いた時には驚いた、という口調で、
『ご存知でしょうか。四角いすいかというものがあるんですよ』
一拍置いて、
『四角いんです』
ええ、と言ったきり、本当に驚いたのだ、という顔でうなずかれて、一条も仕方なくうなずいた。隣りで五代が笑っている。
『あっ皆様、周囲をご覧ください』
皆で左右を見ると、稲刈りの済んだ田んぼが連なっている。
バスガイドはしみじみとした口調で、
『わたくし、この、秋も深まった田んぼのあとを見ますと、ああ、もう冬が近いのだなあ、と、じーん。と、胸にしみてくるのでございます』
…ほう。と、いう他はない。ので、一条も、ほう、と言った。
「いいガイドですねえ」
五代が笑いながら、半分感心しているようでもある声を出している。
「左手をご覧下さい。○山の山頂が雪をかぶっているのがうっすらと見えます。あの山は2236mございます」
皆、左方向を見たが、そんなものはない。ただ、山間の家がぽちぽち建っているだけだ。
「?」
「2236mの覚え方は、夫婦で見ろ、と言うのでございます。22が夫婦、でフーフ、36が見ろ、ミロ。夫婦で見ろ」
これは自信があるらしく堂々と喋っている。
「夫婦で見ろだそうだから、一緒に見よう(見ませんか)」
「我々は夫婦ではない(ありません)」
「そんなひどい」
のような会話をあちこちで交わしている。
「続いて右手をご覧下さい。巨大な柿のモニュメントがございます。この辺りは柿の名産地なのでございます」
右を見るが、やっぱりそんなものは無い。皆もう一度「?」という顔になる。
「えーと、柿の皮を天ぷらにして食べると、…なんだっけ。血圧だっけ。とにかく体によいです。あと、柿をたくあんといっしょにいれると、たくあんがおいしくなります。あと、イライラしている人は、牛乳を飲むと良いといわれています」
芝浦淳が笑い出して、
「浅倉、牛乳飲んだら?」
「黙れ」
フン、と窓の外を見る。しかし二人とも首をひねった。
(さっきまで柿の効能を喋っていたのに、なんで唐突に牛乳が出てくるんだ)
「あっ」
驚きの声が上がり、
「すみません。左右が逆でした。あっちが○山、ああカーブしたー」
「あのコ、ひょっとしてミラーワールドのモンスターかな」
北岡が呆れた声を出した。失礼ですよ、と言えないかも知れない…と由良も思った。
『皆様、次はいよいよ舟下りでございます。バスと私は一足先に下った先でお待ちしております。ええとそれでですね、お昼のスケジュールが結構きついんで、出来れば今のうちに何を食べられるか聞いておいて、舟を下りたらさっと食べていただけると、あの、嬉しいんですね。それであの、食堂のメニューをお配りしますので、できればあの、ここで決めていただけると嬉しいです。あの、イヤなら別に構いませんので。全然。本当に』
皆微妙に笑いながらいいですよ別に、と言った。
『ありがとうございます!じゃああの、メニューをお配りします。どうぞ。どうぞ』
メニューが前から回ってくる。ひとつとって後ろへまわす。
「うぉ〜どれにすっかな!ウヒヒ」
武蔵が大喜びでぺろぺろメニューをめくっている。隣りの竜馬はメニューを見ながら、背もたれの上に顔を出して、後ろの隼人に、
「お前、なに食うんだ」
「そうだな。例によってなんでもあるタイプの食堂だからな。かえって困る…」
と、その時、
『あの、メニューだと、字で書いてあるだけなんで、よくわからないと思うんで、私が食べた中でおすすめのメニューを紹介させてもらいます』
皆、なんとなく顔を上げて彼女を見た。
『まず、天重。これはもうすっごくテンプラがやまもりで入ってます。えびなんか二本も入ってて、すっごくボリュームがあって、ふわっとしてかりっとして、おいしいです。お得です』
武蔵と彼女がぐびと喉を鳴らした。
『次に、広東麺。これは、今日私も食べようと朝からずっと思ってるんですけど、あんがとろ〜っとかかって、すっごくおいしいです。ボリューム満点であつあつです。おいしいです』
武蔵はもうよだれをすすっているが、彼女も、本当に幸せそうな笑顔だ。
『あと、肉そばと、肉うどん。普通、肉そばの肉って、こう、薄いんですけど、これは厚くて、とろっとしていて、何枚も何枚も入っていて、あつあつですっごくおいしいです。これはあの、ボリュームは普通です』
最後にごくんとつばを飲んで、彼女が、順繰りにボードをもって、お名前とー、メニューはー、と聞いてまわる。竜馬のところまで来た。
「おう、流だ」
「ナガレさま。三名さまですね。あのー、メニューは」
竜馬が腕を組んで、えらそうに、
「俺は広東麺だな、そのとろ〜ってやつ」
後ろの隼人が、微笑して、
「肉そばにしてくれ。何枚も入ってるんなら」
バスガイドが嬉しそうにえへへへと笑う。最後に、迷いに迷った武蔵が、
「よし!俺はやっぱり天重だ!えびが二本も入ってっからな!」
「はい!ありがとうございます!」
すごく嬉しそうに頭を下げ、ボードに、ナガレさま、かんとんめん…と書き込んでいる。
「ああすっごく面白かったですねえ!」
「紅葉がきれいだったな」
五代と一条が話しながら舟を下りて、階段を上の食堂の入口へ向かって上がって行く。と、そこにバスガイドが待っていて、満面の笑顔で、
「お疲れ様でした!どうでしたか!」
さっきよりひとまわり太っている。先に来てお昼を食べたんだな、と一条は思った。多分、広東麺だろうな、と五代は思った。
「キレイでしたよ〜。空が本当に青くて、青空ってこれだなって感じで」
「良かったです〜。昨日雨降ったんで、今日こんなにきれいに晴れて本当によかったです」
「紅葉は今が一番盛りなんでしょうね」
「そうですね、あした、明後日ごろですか。でも今日も」
喋りながら食堂の中に入り、すぐそこで食べるのかとおもいきやどんどん通路を進み、階段を上って行く。バスガイドは二人と話しながら入り組んだ道の果てにある、『すもも一号様』と書かれた立て札の前まで来て、
「こちらです!」
ひろーい空間いっぱいに机がならび、上には延々とお食事の用意がされている。それはいいのだが。
見回すと、五代と一条とバスガイドしかいない。
「あっ」
一声叫んで、駆け戻って行った。
「…他の人、探しに行ったんでしょうか」
「…てっきり、…最後の俺たちを待っていたのかと思ったんだが…」
「最初だったみたいですね」
二人はしばらく、だだっぴろい机の端に座っていたが、
「時間もあまりないと言っていたし、食べよう」
「そうですね」
いただきますと言って広東麺を食べ始めた。半分くらい食べたところで当惑顔の他の面々がやってきて、「どこで食うのかさっぱりわからないから」「随分うろうろした」などと言っている。
最後に、汗びっしょりになったバスガイドが走って来て、ひーふーみーよーと人数を数え、また戻って行った。まだ足りないらしい。
各々昼食をとった後、バスに乗ってまた出発した。
『皆様、あの、朝方、トラブルがあってお茶を差し上げられなかったんですけどあの、直りました!』
声が弾んでいる。あちこちからぱらぱらと拍手が起こる。そのくらい嬉しそうだ。
『で今から食後のお茶ということで、お配りしますね!』
「なんだか」
最後尾の承太郎は思った。つまづいてどばしゃー、とかいうオチが付きそうだ。あの女、なんだかやらかしそうだからな。
「つまづいて、君にぶちまけるとかしそうだね」
隣りでくすくす笑っている。
「心の準備だけはしとくか」
中腰で、ふんばりながら、よろよろと揺れるバスの中、懸命にお茶を配っている。今やるか、今やるかと思ったが、予想に反してちゃんと承太郎にも、
「ど、どうぞ!」
ぷるぷる震えながらお茶をくれた。
裏切られて良かった、と思い、隣りの男とそう言いながら飲んだ。と、
「お代わりはいかがですか」
震えながら二杯目を持って現れた。
ぷるぷるしている。ああ、じゃ、と二杯目をもらって、飲む。と、
「お代わりはいかがですか」
震えながら三杯目を持って現れた。
一応もらって、飲まずにそっと置いておいた。見るとあちこちでお茶攻めに遭っている。
「直ったのがよほど嬉しかったんですね」
『次はちょっとドライブインで休憩を取ります。あの、ここのソフトクリームはすっごくおいしいので皆様よろしかったら召し上がりください。私のおすすめです』
ぶー、とバスが停まった。
「バスの中はタバコが吸えねえからな」
「ああ。指が震えてくる」
ルパンと次元がすかすかと煙突のように、灰皿のある場所でさんざん煙を吐いてから、
「そろそろ戻るか」
ポケットに手を突っ込んでバスに戻った。
「お帰りなはいまへー」
見ると、バスガイドは片手にソフトクリーム、片手に玉こんにゃくを持って頭を下げている。上げた顔はぷんぷくになって、自分が玉こんにゃくのようだ。思わずルパンが爆笑して、
「うひゃひゃひゃ。おいしい?」
「はひ。とへも」
「まだ時間ある?」
「ありまふ」
「買ってくっか」
二人はポケットに手をつっこんだまま戻って行った。
日も随分傾き、バスは朝出発した場所へと戻ってきた。
『えー、皆様、本日は、まことに御迷惑をおかけしました。不慣れなのと、あとどうしても落ち着きがないのとで、本当にすみませんでした。でも無事に終了できてホッとしています。皆様まことにありがとうございました。またお出での際にお会いできることを願っております。ありがとうございました』
ぱちぱちぱちぱち。皆拍手を送る。
各々、タラップを降りて外へ出て、そこで頭を下げている彼女に声をかけて、三々五々散っていった。
「なあ、これ」
「はい?」
見ると、武蔵が紙袋を差し出して、
「食いかけで悪いけど、これあげるよ。食ってくれ」
驚いた顔で中を見るとおかしがいっぱい入っている。
わあ!と歓声を上げる。
「いいんですか?こんなにもらっちゃって」
「うん。今日はありがとうな。面白かったよ」
「ありがとうございます!お気をつけて!」
武蔵は手を振って、向こうで待っている二人の方へどすどす走っていった。
先日ちょっと舟下りだの、お釜見物だのをしてきました。
どれもなかなかによろしく、お話が出来るなこれはという物件ばかりで、なんといっても抜けるような青空ともえる山々は非常にキレイでした。
ですが。
観光バスのガイドさんがとにかくもう最強のキャラで、思わず紹介してしまいました。最初の話で、「あのう」と言った由良さん(注:仮面ライダー龍騎に出てくる人です。五代と一条というのは仮面ライダークウガに出てくる人/笑)は私、その他の話での各キャラは私自身だったり、夫だったり、前の席の人だったりしています。
やっぱり18なんだろうね。若さと彼女自身のキャラがいい感じで相乗効果。
この他にも、惜しいけど割愛したエピソードてんこもりです。一言、面白いことを言ったとかいうのなら枚挙にいとまがない。こういうコを見ると、にんげんていいなあ、と思う。最初はうちのサイトの誰かと組ませて話をつくろうと思ったんだけど、どうしても私の考えた部分が浮くんだよ。だからやめた。
お世話になりました。これからも頑張ってね。またそっちに行くことがあったらあなたのバス会社に行ってみますよ。
しかしものすごいメンツのバス旅行ですね。参加してみたい。
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